「初等および中等学校用 地理教育ガイドライン」(一般的には、「地理教育ガイドライン」と呼ばれています)の中で、最も注目されたのは、「地理学の5つの基本テーマ」(通称:5大テーマ)です。これは、地理的見方・考え方を5つに整理したものです。
当時、アメリカ合衆国では、地理学や地理教育において、「地理学とは何か」「地理的見方・考え方とは何か」「地理教育で教えるべき内容とは何か」といった疑問がしばしば提起され、その答えの曖昧さが地理教育の衰退を招く原因となっていたそうです(志村喬、1993、p.28)。
5大テーマは、非常に単純化され、分かりやすく、多くの人々に受け入れやすいように構成されていることが特徴です。アメリカ合衆国でいくつかの地理授業を参観してきた方のお話では、多くの教師が、指を折りながら、5大テーマを教えてくれたそうです。
<地理学の5つの基本テーマ>
1.LOCATION:Position on Earth’s Surface
2.PLACE:Physical and Human Characteristics
3.RELATIONSHIPS WITHIN PLACES:Humans and Environments
4.MOVEMENT:Humans Interacting on the Earth
5.REGIONS:How They Form and Change
翻訳すると、
1.位置:地表面における位置
2.場所:自然的人文的特徴
3.場所における相互関係(相互依存関係):人間と環境の相互依存関係
4.移動:地表面における人間の相互作用
5.地域:地域はいかに形成され、どのように変化するか
という感じでしょうか。3.RELATIONSHIPS WITHIN PLACESについては、「環境」として紹介される方もいらっしゃいます。
<参考文献>
志村 喬(1993):アメリカ合衆国における地理教育の動向について-HSGPから5大テーマへ-.社会科研究(新潟県高教研社会科部会)第31集.pp.25-38.
中山修一(1991):地理にめざめたアメリカ-全米地理教育復興運動-.古今書院
地理懇話会(1993):地理学の五大テーマを取り入れた地理授業.地理科学会地理教育専門委員会