「地名」習得の課題

2007-08-31

先日、Wくんから紹介された「30歳からの成長戦略―『ほんとうの仕事術』を学ぼう」は、読み終えてしまいました。「30歳からの成長戦略」は、やはり40代を過ぎた者が読んですぐに役立つような内容ではありませんでした。
しかし、どんな世界でも、それなりに実績をあげた方々は、同じような価値判断をするようになるんだなあと感じるところがあって、参考になりました。
なぜ、成功者はこのように主要な宗教が説く思考パターンに至るのかなあと不思議に思います。40代以降の方々には、この本の最終章の一読をお勧めます。 自分の歩んできた道と重ね合わせて読むことで、これからの「成長戦略」を考えるヒントが必ず与えられます。

それで、「小学生に教える『地理』ー先生のための最低限ガイドー』を、もう一度読んでみました。

小学生に教える「地理」―先生のための最低限ガイド

さて、「小学生に教える『地理』ー先生のための最低限ガイドー』では、「地理」という学習で子どもたちになにを伝えたらいいのかについて検討しています。

著者の「単なる基礎的知識として地名を習得するのではなく、適切な地域のイメージを獲得するのが重要で、その過程の中で地域イメージやその構成要素につけられた名札のようなものとして地名が認識されていくことが大切なのだ」という指摘は印象的です。

従来から中等教育における「地理」は、「地名物産の地理」と批判されてきていることは周知のとおりで、学習指導要領の改訂も、そこからの脱却を目指して行われたはずでした。しかし、改訂から20年が過ぎようとしているのに、学校現場における「地理」がほとんど改善していないのは残念です。初等教育教員ばかりではなく、社会科地理(中等教育前期)教員も、この本を読むべきではないかと感じました。

内外教育の記事によると、山口県では、中学校と高等学校の「地理」に連続性がないということが課題になっているそうです。もちろん、大学入試をゴールをした「地理」では、こうした制度上の「ねじれ」による問題はほとんど場合表面化することはないかもしれません。

しかし、それに甘えてしまうことは、一個人のレベルだけではなく、社会や国家という別の観点から考えても、大きな損失につながる危険性をはらんでいるはずです。

近年になって、人文地理学の成果が経済学や社会学などの隣接学問から注目されているように、地理的な思考力を身につけ、社会で活用できるた人間の育成することは、これからの社会形成にとって大切なことです。そうしたニーズに応えられる「地理」を日本社会にも広めていきたいものです。